【インタビュー】有限会社秋田三鶏実業

(有)秋田三鶏実業

秋田三鶏実業の外観

『日本三大美味鶏』のひとつとして、程よい歯応えと山鳥に似た旨みを兼ね備え、秋田県の郷土料理である「きりたんぽ鍋」には欠かせない比内地鶏。
鍋のほかにも、比内地鶏のスープを使用したラーメンや焼き鳥、親子丼など、さまざまな加工食材としても人気があります。

秋田三鶏実業では「おいしさ・ほんもの」をモットーに、地域性を上手に活用しながら高品質の比内地鶏を届けてきました。
今回は、代表取締役の下間裕一さんにお話を伺います。

秋田三鶏実業について

秋田三鶏実業社長の下間祐一さん

比内地鶏専門店として、1989(平成元)年3月に設立・開業した秋田三鶏実業は、大館市郊外に位置する雪沢という地域に拠点を構えています。
その名にもあるように、冬は雪深く寒さも厳しい雪沢ですが、豊かな自然の恵みを受けて、比内地鶏の飼育にはすべて天然の流水を使用しています。

元々は飼育を担当していた下間さん。
3代目社長になった現在も、毎朝鶏舎に行って鶏の餌やりをしています。
「社長に就任したことで、飼育から販売に至るまでの流れを自分の目で見て確かめることができるようになり、これまでの経験が強みになっている」
下間さんはそのように語ります。

秋田三鶏実業の社内

下間さんを含めて8名で経営している秋田三鶏実業では、年間約2万羽を飼育しています。
「小規模な分、お客様の細かな要望にもできるだけ応えられるように努めています」
そのように地元の人との関わりを大切にしている秋田三鶏実業ですが、県内消費よりも県外消費の方が圧倒的に高いという課題があります。
「県外の人たちに食べてもらえることはもちろん嬉しいけれど、もっと地元の人にも比内地鶏を食べてほしい」
比内地鶏ブランドを守り続けていきたいと考える下間さんの熱量がこぼれます。

また、年間売上の7〜8割が冬に集中していることも課題であるといいます。
「冬の“鍋”のイメージから、夏の“焼き”の魅力にも気づいてもらいたい」
鍋物に合わせるイメージが強い比内地鶏は、焼き鳥など、夏場でも調理方法次第でおいしく食べることができます。

「年間を通して安定した供給を確保するためにも、力を入れていきたいことはたくさんある」
少しでも課題を解決するために、秋田三鶏実業の努力は続きます。

秋田三鶏実業のこだわり

比内地鶏を解体している様子

鶏舎があるのは、空気の澄んだ緑豊かな小高い山の上。
鶏にとってストレスの少ない環境下で飼育しているため、濃厚な脂の旨みを愉しむことができます。

また生で出荷される鶏肉は、全てその日の朝のうちに生きた状態で解体処理を行なっています。
そのため、良質な鮮度状態でお客様のもとへ届けることができるのです。

比内地鶏

「基本に忠実に、決して手は抜かないこと」
生き物を相手にしているからこそ、365日欠かすことなく鶏に手をかけることが必須な仕事。
日々の餌やりはもちろん、季節ごとに鶏舎内の環境を整えたり、餌の配合なども調整しています。
簡単なようでいて継続させるのが難しい基本ですが、常に美味しさを追求して飼育されている鶏には、作り手の愛情が詰まっています。

(有)秋田三鶏実業の未来

秋田三鶏実業社長の下間祐一さん

「比内地鶏は秋田の宝、未来に残していくために頑張りたい」
そう語る下間さんの根底には、“秋田の特産品に携われていることが幸せ”という想いがあります。
「自分たちの時代で、秋田の宝である比内地鶏ブランドを終わらせたくない」
そのためには比内地鶏の組合同士で協力していくことが大事であると考えている下間さんは、食育に対して強い関心を持っており、今の子どもたちが大人になったときに心に残る体験を根付かせたいと構想しています。

これからの比内地鶏ブランドを担う後継者のために必要なのは、飼育生産者を絶やさないよう安定した収入を得られるモデル作り。
そのモデルを作ることが、比内地鶏の未来に繋がっていくと語ってくれました。

有限会社秋田三鶏実業

〒017-0021 秋田県大館市雪沢字楢木岱72-3 TEL:0186-50-2254 FAX:0186-50-2277